同じ故人宅で、遺品整理の見積り額がそろわないのはなぜ?

同じ故人宅を見てもらったのに、遺品整理の見積り額がそろわない。合計額だけを見ると、高い事業者と安い事業者に分かれたように見えます。ところが、見積書に「遺品整理一式」と書かれていても、その中に含まれる作業まで同じとは限りません。

国民生活センターは、遺品整理サービスの作業内容や料金はさまざまで、複数の事業者から見積りを取り、契約内容と料金を比べるよう案内しています。比べる対象は金額だけではなく、仕分け、搬出、作業後の清掃、残す品の扱いなど、何を頼んだ数字なのかという前提です。

部屋数が同じでも、収納の中に残る家財、建物から車までの距離、家族が持ち帰る品によって、依頼する作業は変わります。二つの見積りのどこに、作業範囲の違いが表れているのでしょうか。

合計額の差は、作業範囲の違いから始まる

遺品整理の複数の見積書で合計額と作業範囲を比べる様子

見積書の合計額が違うとき、確かめたいのは、各社が同じ範囲を見ているかです。家財の仕分けから任せるのか、処分が決まった物だけを搬出するのか。簡易清掃を含むのか、家族が持ち帰る物の移動も頼むのか。作業名が同じでも、見積りの前提はここで分かれます。

国民生活センターの案内では、契約時に作業日、具体的な作業内容、料金、支払方法、解約料を確認するよう求めています。「一式」という一行だけでは、合計額の差が料金差なのか、作業範囲の差なのかを読み取れません。実際にしてもらう作業まで照らし合わせて、初めて二つの金額を比べられます。

見積書の項目名がそろわない場合もあります。片方では仕分けと搬出が分かれ、もう片方では一式にまとめられていることがあります。項目名を同じに直す必要はありませんが、残す品の探索、梱包、搬出、清掃のうち、どこまで含むかを文章で確認できなければ、総額の差は説明できません。

部屋の広さが同じでも、作業量は同じにならない

遺品整理の見積りで部屋全体と収納の写真を確認する様子

間取りは家の大きさを伝えますが、押し入れ、納戸、ベランダ、物置まで含めた家財量までは表しません。家具が少ない部屋と、収納の奥まで箱が残る部屋では、同じ間取りでも仕分けと搬出に必要な作業が変わります。

建物側の条件もあります。エレベーターの有無、階段や廊下の幅、玄関から駐車位置までの距離は、室内の家財量だけでは分かりません。写真で相談する場合も、片付いて見える一角だけと、収納や搬出経路まで含む写真では、事業者に伝わる前提が違います。

リサイクルジャパンの遺品整理の公式案内では、問い合わせ後に訪問日時を調整して現地確認へ進み、作業時間は部屋の広さや遺品の量によって異なるとしています。見積りの条件をそろえるには、同じ部屋数を伝えるだけでなく、どこまで見てもらった数字かを合わせる必要があります。

写真での事前相談は、遠方から家の状況を伝える助けになります。ただし、部屋全体、収納、屋外、搬出経路のうち、片方の事業者にだけ広い範囲を見せれば、二つの見積りは別の情報から作られます。写真の枚数をそろえることより、同じ場所と同じ範囲を伝えることが比較の前提になります。

処分品を数えるだけでは、作業範囲が決まらない

遺品整理で処分品と家族が残す品を分けている様子

遺品整理では、部屋から出す物だけでなく、出してはいけない物も作業範囲を左右します。アルバム、重要書類、鍵、家族が確認していない箱を探しながら仕分ける見積りと、処分が決まった家財だけを搬出する見積りは、同じ部屋を対象にしていても内容が違います。

国民生活センターには、大切な書類を残す約束だったのに、アルバムや回線のつながった電話機まで処分されたという相談事例が掲載されています。そのため、残す遺品と処分する遺品を明確に分けるよう案内しています。見積りを比べる段階でも、保留品の確認まで頼むのか、家族が先に分け終えた後の搬出だけを頼むのかが曖昧なら、合計額は同じ仕事の価格にはなりません。

探してほしい品がある場合、その探索が作業に含まれるかも同じです。通帳や印鑑の発見を保証することはできませんが、保管場所の手掛かりを伝え、見つかったときの扱いを決める作業と、家財を運び出す作業は同じではありません。見積り上でその違いが見えなければ、当日の認識もずれやすくなります。

見積りの外に残る条件が、あとから金額を変える

見積り時になかった家財が後から見つかった場合や、作業当日に依頼範囲を変えた場合は、当初の前提から外れます。追加料金があるかどうかだけでなく、どの条件で発生し、作業前に金額の説明があるのかまで分からなければ、最初の合計額だけで最終的な負担を比べることはできません。

一方の見積りだけに作業範囲の変更条件が書かれ、もう一方には説明がないなら、金額の数字だけを並べても最終負担は比較できません。「追加料金なし」という言葉だけでは、依頼範囲を変更した場合の扱いまでは分かりません。どの状態までが当初の金額に含まれ、変更前に説明を受けられるかを見積書から読み取れる必要があります。

日程変更やキャンセルの可能性があるなら、解約料や変更時の扱いも見積りの外に残る条件です。国民生活センターは、作業日、具体的な作業内容、料金、支払方法、解約料に加え、思いがけない追加料金が請求されることもあるとして、事前に確認するよう案内しています。

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